産地をめぐる岡部の旅~兵庫県編~「堆肥によるSDGsの取り組み」
2022.9.22
フルーツ通販特別企画「職人おかべが行く」
今回の「職人おかべが行く」は、産地を巡る旅です。
大阪中央卸売市場には全国各地から新鮮なフルーツが日々届きます。生産者と消費者、生産地と家庭を結ぶ市場の仲買人である岡部による産地を視察し、より生産者目線での情報を取り入れることでフルーツ通販ドットコムにて有益な情報発信を行っていくことが目的の旅です。
今回の旅は、兵庫県三田市、西脇市、加東市、加西市、小野市に拠点を持つ土居商店の土居守さんの取り組みをご紹介します。
(左)土居さんのお仲間 (中央)土居守さん(右)岡部
そもそもこの堆肥とは?
堆肥とは?
易分解性有機物が微生物によって完全に分解された肥料あるいは土壌改良剤のこと。有機資材(有機肥料)と同義で用いられる場合もあるが、有機資材は易分解性有機物が未分解の有機物残渣も含むのに対し、堆肥は易分解性有機物が完全に分解したものを指す。
ということです。わかりやすく言うと、果物や野菜などを育てていくことに必要不可欠な「肥料」に該当するものです。
今回ご一緒する土居守さんは完全有機工法で自然による力を利用して堆肥を作っています。
ごく自然な大地のサイクルを取り入れ、無駄のない無理のない有機農法を兵庫県のこのエリアで沢山の仲間たちの賛同を得て活動されています。
兵庫県三田~加東近辺に畑を持ち、その作物の肥料に堆肥を使用しています。
土居さんに聞けば、兵庫県と言うと関西屈指の都市ですがその内陸部にあたるこの近辺は、一時期の賑わいが薄れ少しづつ空き家や住む人が減っている現状があると言います。
この地域の生産者仲間と地域をより魅力的にしていく取り組みなども土居さんは行っています。
そしてその土居さんの声に立ち上がった生産者達と堆肥づくりを各地で展開しています。
堆肥づくりの工場?それともゴミ捨て場?
土居さんの案内で向かった先は、堆肥を作る拠点「堆肥工場」です。
堆肥というのは自然の力で有機物、あるいは虫など自然の土に還る過程で出来上がる完全な自然の中で出来上がる肥料です。
思わず職人岡部も「これ、記事見とる人わかるか?」と言ったほど見た目はこの通り『単なるゴミ捨て場』のように見えてしまいます。
最初に案内された西脇堆肥場は夏はカブトムシが沢山出る
兵庫県加東市内にある堆肥工場(その1)
兵庫県加東市内にある堆肥工場(その2)
堆肥づくりに使うおが屑だけが調達物
「天然のゴミ捨て場に、生ごみをそのまま放り込んで、おが屑まいたらそれで終いや」という土居さん。
「夏には、子ども会の小学生たち連れてきてカブトムシやクワガタが沢山獲れる」と、子ども達はSDGsよりそちらに夢中だそうです。
秘密基地型の堆肥場へご案内
西脇、加東市の堆肥場はコンパクトな堆肥場でしたが、こちらは秘密基地型の堆肥場。ペットも居る大人のあこがれ、堆肥場BASEです。
車通りの多い道を一本入ると林の中に現れる、これが「土居守SDGs BASE」です。
手前小屋?はイノシシをペットとして、飼っているそうです。もちろんイノシシのフンは堆肥の原料となります。
ここでは鉄くずを堆肥に混ぜることで栄養成分として鉄分をしみこませているとのこと
ココには、今流行りのメダカを育てているとのこと。もちろん水は循環する装置が付いています。
堆肥~生産~販売まで
土居守SDGsBASEで製造された堆肥はすぐ隣の畑で生産物の堆肥として使用されます。
この日は収穫されたジャガイモが倉庫にありました。
そして、中央卸売市場で廃棄になってしまっている「ミカン箱」「廃棄されたパレット」がこんな形で再利用されていました。
少し移動した道のわきには別のBASEも紹介して頂きました。
こんなところにも市場で野菜などを入れる廃棄パレットが再利用されていました。
廃棄されたミカン箱を使ったベランダ菜園?!
最後は、主に皆さん地域の仲間が集まって会議をしたりする集会所前に設置されている市場の不用品で作られた、堆肥機能付き家庭菜園をご紹介いただきました。
上から順に堆肥の過程が再現できるようにしているそうです。
ミカン箱にビニールを被せれば「ミニビニールハウス(温室)」の出来上がり!
堆肥とSDGsの取り組みを視察できました
土居商店、土居守さんの計らいで様々な拠点での活動をお見せいただけました。
中央卸売場という、大きなロットで取引される世界で「ミカン箱」や「折り畳みパレット」が山のようにゴミになり廃棄されています。
それを二次利用三次利用して頂くことで、産地に戻り、また市場に循環する。そんな一端を見ることが出来ました。